マーケット部政談





「なんだ、桂。マーケット部の次は、あんぱん部か?」



「違うんだよ。実はこいつ、マーケット部の新入部員なんだよ。今日、初めて売りに出たんだけど、ここで転んじゃってさ。可哀想だから買ってやってくれよ。」



「あんぱん? あんぱんは勘弁してくれよ。焼きそばパンとかコロッケパンなら買わないこともねーけど、あんぱんはなあ……。」



「いいじゃねえか。買えよ。」



「あんぱん嫌いなんだよ。」



「嫌いかあ。そうか……。お前、確か1年の時にタバコが見つかって、謹慎になったことあったよな?」



「嫌なこと思い出させるなよ。」



「その時、お前、家追い出されてオレの家まで『腹減ったからなんか食わしてくれ!』って走って来て、オレがマーケット部で売れ残ったあんぱん出したら、20個全部食ったよな!」



「わ、わかったよ。買うよ。買うよ! ったく、ドジ! お前が転んだりなんかするから、思い出したくもねえつまんねえ話を聞かされることになるんだ。ほら、金だ。持ってけ泥棒!」



「待てよ! こいつは商売してんだぞ? あんぱんも持って行け! 金だけやって、品物はいらねえって半次の分際でそんなことするのは、100年早っ……嫌なヤツだな、こいつ。いざとなったら大きいの選んでやがる。何でもいいから早く持って行け!」




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