マーケット部政談
桂さんのおかげで、売れないと思っていたあんぱんが飛ぶように売れて行った。
「ああ、大方売れたな。あと2つしか残ってねえ。」
「はい。これなら私でも売れると思います。」
「売れなきゃマーケット部なんてやめた方がいい。昼休みもあと10分だ。早く売れよ。」
そう言って、桂さんはその場を颯爽と去って行った。その後ろ姿がカッコよく見えた。
「さあ、あと2つだし。自分で売っちゃおう。」
籠を担いで、また歩く……あ、そうか。
私はあることに気づいた。それも重要なあることに。
「……そうか。私、声出してなかったんだ。これだと売ってるのか、運んでるのかわからないもんね。」
そう。どおりで売れないわけだ。