マーケット部政談
「あの……。」
後ろを振り返ると、一人の女子が立っていた。
メガネをかけたいかにも地味子ちゃんって感じの子だ。
「はい、何でしょうか……。」
「すみません……あんぱん……売ってくれませんか?」
「あ、あんぱんっ!? か、買います!?」
「……う、売ってるんですよね?」
「あ、ごめんなさい。私、今日初めて売りに出て、初めて買ってくれるって人が現れたので……。」
その……まあ……何と言うか……所謂……つまり……。
「そうだったんですね。1つ、もらえますか?」
「100円です。」
地味子ちゃんは、古いガマ口の小銭入れのようなものから、10円玉10枚で100円を出して、私に渡した。私はそれを受け取って、あんぱんを渡した。
これが……商売か……。