マーケット部政談
「何やってるの! まだチャイムまであと2分もあるのよ? 売れないうちに帰ってきたらダメじゃないっ!」
涼しい視聴覚室で、アイスを食べながら円お姉ちゃんは、待っていた。
「いや、それが全部売れたんだよ。」
「……とうとう嘘までつくようになったのね。」
円お姉ちゃん、私のことを何だと思ってるんだろう……。
「そうじゃなくて、ほらっ! 籠!」
私は空っぽの籠を見せた。円お姉ちゃんは、目を丸くした。
「本当に全部売ったの? どうやって売ったの? うん、うん、なるほど……え? 転んで? 大変だったわね。ケガはなかったの? そこで? ああ、桂が? へえー、それは良かったわね。そうやって好かれることも商売には大事なのよ。」
円お姉ちゃんの口調が柔らかい。
「それで2つ余って……自分で売ろうと? 偉い! そうやって自分で売ろうとしたことは偉い! それで、地味子ちゃん? ふんふん、1つ売って? これを機会に贔屓してくれるようにもう1つ置いてきたと。なるほどね。頑張ったじゃない!」
初めて円お姉ちゃんに褒めてもらったような気がする。なんだか、気持ち悪い。