マーケット部政談





「連れてってあげなさいよ。」



私たちのやりとりを黙って聞いていた円お姉ちゃんが、私に声を潜めて行った。



「……嫌よ、私。遊三くんと二人っきりにさせられるの。遊三くん、『これ、何?』とか訊いて、部屋の中、引っ掻き回すんだもん。」



「……私だって嫌だよ。お小遣い減るし。」



「遊三くーん!」



円お姉ちゃんは、遊三の頭を撫でた。



「お姉ちゃん、連れてってくれるって!」



「えー!? ホント!? わーい!」



円お姉ちゃんが私の方を振り向いて、ニヤリと笑う。



……はめられた。




< 94 / 327 >

この作品をシェア

pagetop