ハニー♡トースト
「なんで…なんで、私の気持ちを無かったことにするの?」
朔弥の気持ちを強制するつもりはない。
私のこと嫌いなら、嫌いって言えばいい。
でも…
「嫌いって言われるより、なかったことにされるのが一番辛いよ…!」
どうしてあなたはそんなに傷ついた目をするの?
知りたい。あなたの心が。あなたが今まで何に悲しんで、何に喜んだのか。
「…わかんねぇよ。」
私の口を塞いでいた手が、朔弥の前髪をぐしゃりと潰す。
「好き、とか。そういうの、信じられねぇし。信じても、いつか裏切られる。だから、今までだってずっと拒絶してきた。」
朔弥の辛そうな声。聞きたくないけど、知りたい。
あなたのことなら、綺麗なところも汚いところも、全部。
「…女の好意なんて、煩わしいだけだ。俺に向けられるそういう目を見るたびに、赤くなる顔を見るたびにうんざりして、全てが面倒くさくなる。でも」
でも。
「お前の赤くなった顔は、好きだった。いやだと思わなかった。もっと見たいって思った。」
「…私の、だけ?」
「…だから、メイドもやめて欲しくない。」
好きって言われたわけじゃない。
それは、もしかしたら女として見てないからって意味かもしれない。
でも、私今すごい嬉しい。