ハニー♡トースト


…そして2日後。


「朔弥様、朔弥様!おーきーてーくーだーさーい!!!」


朝。私はいつも通り大好きな人の耳元で叫んでいる。


そう考えると、案外私の仕事は幸せかもしれない…


「わっちょっ…!」


腕を思い切り引っ張られてすぐにバランスが崩れる。


首元に熱い息がかかって、鼓動がはやくなる。


「やっやめてください!」


間一髪で私は朔弥の胸板を押し返す。


「…なんで拒むんだよ」


不満そうな顔で抗議してくる朔弥を私は思い切り睨む。


「こういうことは控えてください!」


気持ちがないのにこんなことをされても、嬉しくない。


「…でも嫌じゃないんだろ?」


朔弥の妖艶な微笑みに既に赤かった私の顔はさらに赤くなる。


「…いじわる」


「照れてんの?かわいい」


なんともない風にいう朔弥を、私は更に睨む。


…その4文字で、どれだけ私の心臓がうるさくなるか知らないくせに。

< 103 / 233 >

この作品をシェア

pagetop