ハニー♡トースト
「さっきの人も、神宮寺家の人なのか?」
「うん、そう。運転手の林さん」
駅前の喫茶店に入り、私たちは窓際の席に座った。
校門の前で林さんの車を見つけたので、先に行ってもらうようにと伝えた。
注文を聞きに来たウェイトレスにアイスコーヒーを頼む。
「…お父さん、連絡、とらなくてごめん」
わたしはお冷を手に取りながら言う。
「いや、忙しそうだもんな。元気そうでよかった」
お父さんの優しさに、胸が痛くなる。
「近々部屋も借りようと思ってるんだ。まあまたアパート生活になっちゃうけどな。」
お待たせいたしました、と言ってさっきと同じウェイトレスがアイスコーヒーとお父さんが注文したコーヒーをテーブルにのせた。
私は軽く会釈をして、ストローを指で回す。カラカラと氷がコップにぶつかる音がする。
言葉が、続けられない。