ハニー♡トースト
周りと比べると小さなお墓。お父さんが挿したと思われる、まだ新しい花。
「ひな、母さんと、話してやってくれないか?ずっと、待ってる」
「…無理だよ」
合わせる、顔がない。
私に、そんな資格ない。
「日向子…」
「私!!…私、お母さんの顔すら覚えてない」
ううん、思い出せない、思い出したくないんだ。
お母さんとの思い出に、私はいつしか蓋をした。
「かわいそうな子なんかじゃない…お父さんと2人で暮らして来て、悲しかったことなんて一度もない。」
同情なんてされる筋合いない。
でも、もし本当にそうだったら?
そう思うのが、怖かった。
「でももしお母さんとお父さんと3人で過ごしてきた日々が、今よりずっとずっと幸せだったら、私は本当にかわいそうな子になっちゃう」
お母さんに先立たれて、お父さんと2人きりで残された、かわいそうな子だって言われちゃう。
「お母さんが死んだのはお母さんのせいなんかじゃないって分かってる!でも、でもずっとお母さんのこと責めてた…」
私、最低の娘だ。