ハニー♡トースト
「お前、ほんっとにバカだな」
「なっ…」
こんな時まで、この人は…!
「悲しかったから、それを認めたくなかったから、そうやって母親を避けたんだろ?お前は、大好きだったんだよ。母親と、親父さんと3人で暮らしてた日々が」
「…でも」
「それは、かわいそうなことなんかじゃない。むしろ逆だろ?親がいなくなって悲しくない方が、かわいそうな子だ」
「ひな、お前は、かわいそうな子なんかじゃない。だって、俺と母さんの大切な大切な宝物なんだから」
記憶の中で、何かが色づく。
あたたかい手、優しい香り。
花が咲くように笑う、私のお母さん。
「…さん…おかあ、さん」
記憶が、溢れ出す。
「お母さん、お母さん」
目の前がぼやける。声が震える。
「お母さん…ごめんね…」