ハニー♡トースト
パンパン、と根本さんが手を叩き、ざわめきが収まる。
「いいですか、皆さん。いつもより行動には気をつけるように。話はそれだけです」
その声を合図にバラバラと腰を上げ、それぞれが部屋へと向かう。
「それと、桜田さん」
突然の名指しに、頭に不安がよぎる。
「私…なにかしましたか?」
根本さんは私の情けない声に深いため息をつく。
「…朔弥様がお呼びです。なにか私に叱られることでもしましたか?」
「いっいえ!そんなそんな…」
私は慌てて朔弥の部屋へ向かおうとして、ふと思い留まる。
その前に、話さなければならない。
私は階段を上りかけていた彼女を追う。
「橘さん!」
暗くて艶のある髪が、ふわりと揺れる。
「ちょっとだけ、いいかな」