ハニー♡トースト
「…失礼します」
深呼吸してから、朔弥の部屋のドアをノックする。
すぐに開いたかと思うと、突然腕を引っ張られて思わず転びそうになる。
「朔弥様、急に…」
「泣いた跡がある」
そっと目の下を指で撫でられて、また涙腺が緩みそうになる。
「…泣いてなんかいませんよ」
「親父に何言われた?」
心配そうに、真剣な顔で聞いてくる彼を見て、胸が締め付けられる。
嬉しくて、愛おしくて胸が締め付けられることがあるなんて、知らなかった。
あなたが、教えてくれたんだよ。
「朔弥様、聞いてください」
私の手首を優しく掴む朔弥の手に、そっと指を絡ませる。
「私は、朔弥様のことが好きです」
もう何度目だろう。この気持ちを伝えるのは。