ハニー♡トースト
そう笑いかけてくる親父の目は、少しも笑っていない。
「…はい、いってきます」
「いってらっしゃい、気をつけてな」
「父さんも」
短い会話を交わして、親父に背を向ける。中庭を確認することはもうできない。きっと俺がこの廊下の角を曲がるまで、彼は俺から目を離さないだろう。
なぜこんなにも息苦しさを感じるのだろうか。
今までと、何も変わることなんてない。
たった一人のメイドのことだ。分かってる。
でも。
あいつは、言ったんだ。俺が好きだと。
信じてやれない、愛してやれない俺に、ずっと好きだと、言ったんだ。