ハニー♡トースト


「ひな、なんかあったでしょ」


教室に入ってすぐに、ななちゃんにそう言われて、私は泣く手前でこらえた。


「…なんでななちゃんには分かっちゃうかなあ」


「分かるに決まってんじゃん!」


ななちゃんは真剣な顔をして私を教室から連れ出す。


私は朔弥のお父さんが帰ってきてること、私を朔弥から遠ざけようとしていることを全て話した。


「なにそれ…ひどいよ!御曹司はなんとも言わないわけ!?」


「…わかんない、けど、神宮寺社長は朔弥にとって大切な家族だから。私だって恨む気はないし、朔弥に私を選んでほしいわけじゃないの」


そんなことは絶対に言えない。


だって、社長の言うことは正しい。


私はただの雇われのメイドで、身分も違うし、彼の将来に口出しできる立場じゃない。


私が勝手に好きなだけだから。朔弥は、私のことを好きなわけじゃないから。


「ひな…こんなに、手ボロボロにして」


「こんなのどうってことないよ!私は、私にできることをしなきゃ」

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