ハニー♡トースト
そう言いながら手渡されたウサギは触り心地最高で…
「かわいいいい!!!」
思わず頬が緩んだ。
「あ!やっと笑った〜」
「え?」
「やっぱりさ、初めて会った時も思ったけど、ひなちゃんは笑顔の方がいいよ。今日会った時、死んだ魚見たいな顔してたから」
「死んだ魚…」
私、そんな酷い顔してたんだ…そりゃななちゃんもカナさん達も心配するわけだ…
「あれ…じゃあもしかしてさっきのスイーツも?」
私のために、やってくれたの?
「まあ自分が楽しんでたっていうのもあるんだけどね」
拓人くんはそういうと私の手を引いてゲームセンターを出た。
少し歩いて、近くの公園のベンチに並んで腰掛ける。
「最初は拓人のお気に入りのメイドちゃんだって思って、なんか落ち込んでるし、かわいいから誘っちゃえーって」
はい、と渡されたココア。温かくて、心までポカポカになる。
「でもひなちゃんは俺の周りにいる女の子とは違って叫んだり、表情コロコロ変わったり、楽しくなっちゃって」
「…それは女子力がないっていうことを…」
「そうじゃなくて!なんだろう、みんなさ、よくわかんないんだよね。楽しいのか、楽しくないのか。なんでも俺に合わせて自分の意見は言わないし、反応も何しても同じで薄いし。でも、ひなちゃんはびっくりした時も、感動してる時も、嬉しい時も、落ち込んでる時も、全部わかる。手に取るように」
「私ってそんなに単純ですか…?」
「そこがいいってこと!安心する」
ポン、と大きな手が頭に乗せられて、なんだか泣きたくなった。
「なんかあったんだよね?俺でよかったら、聞くよ」
不思議だ。拓人くんといると、ペースに飲まれてしまう。全て、言いたくなる。