ハニー♡トースト


俺は、驚いて声が出なかった。


「…朔弥、聞いてたか?」


「あ…はい。」


いつぶりだろう。あいつに会うのは。


もう何年も会っていない気さえする。それほど、あいつの笑顔が今は遠い。


「…壇上家との仲は今後の神宮寺グループにも大きく影響していくだろう。分かっているな?」


「…はい。」


親父の冷たい眼差しに、俺は無感情にそう答えるしかないのだ。


そう、これはただのパーティーではない。


政略結婚のための、いわば婚前パーティーだ。


「要件はそれだけだ。部屋に…」


「父さん」


思わず出てしまった声に、しまった、と瞬間的に思った。


でも、言わずにはいられなかった。


「…使用人を変更してもいいでしょうか」


「…何故だ?」

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