ハニー♡トースト
「はい、できた」
自信満々のカナさんの前で、私は戸惑うことしかできない。
「おっおかしくないですか…?」
「全然!いつもの100倍はかわいい!」
それはそれで失礼な気もするけど…
言われるがまま用意されたドレスを着て、したことのない化粧をされたけど…全身違和感すぎて既に疲れた。
「ほら、そろそろ行かないとだよね?」
「あ、はい」
悠人さんは下で待っているはずだ。
「じゃあ、いってきますね」
「いってらっしゃい、ひな」
不安そうな顔の香織に、笑顔を見せる。
心配してくれてありがとう。
階段を降りて、正面玄関に出る。
「悠人さん、お待たせしました!」
「お、綺麗だね〜ひなちゃん」
そう言う悠人さんはタキシードが似合いすぎて纏う空気まで眩しい。
「もうすぐ朔弥様くるよ」
ドキン、と胸が鳴る。
緊張と、不安と、嬉しさで、とっくに感情のメーターはオーバーしている。