ハニー♡トースト
「朔弥様、こちらです」
林さんの声に、私は息を呑む。
そこには、1ヶ月ぶりに見る朔弥がいた。
目を見開く。
本物だ…
本当に、本当に朔弥がいる…
涙が出そうになるのをこらえる。
我慢しないと、今にでも飛びつきたくなる。
会いたかった、って泣きじゃくってしまう。
そしたら君は、どんな顔するかな?
正装の彼はもちろんかっこよくて、どこか窮屈そうなしかめっ面まで愛おしいなんて、私はおかしいのかな。
綺麗な横顔が、スッと動く。
目が、合う。
心臓がうるさい。ダメだ、やっぱり、どうしようもなくあなたが好きだ。
「ひなちゃん、俺たちはこっちの車」
悠人さんの声に、私はハッとして慌てて目を逸らす。
これ以上気持ちが大きくなったらダメだ。
だって今日は、私が大好きな人に振られる日だから。