ハニー♡トースト


パーティー会場は広くて、大勢の人が集まっていた。


私は訳もわからず朔弥の後ろを悠人さんと付いて回った。


テレビで見たことある人や、大手企業の社長さんへの挨拶で大忙し。


なんというか、別世界だ。


「ひなちゃん、大丈夫?疲れてない?」


悠人さんの優しい声かけに、私は頷く。


でも、もうすでに足が痛くて笑顔も引きつっている。


ずっと笑顔を絶やさずに対応する朔弥は、いつものワガママ放題な彼とは違った。


すごいな、やっぱり。すごくて、遠い。


どうしようもなく、距離を感じてしまう。


私たち、どうやって話してたっけ。何を話してたっけ。


私の前を歩く背中は、まるで別人みたいだ。

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