ハニー♡トースト
不器用だけど…
あいつが、わたしの首につけた…やつ…を隠すためにバンソウコーを貼ろうとしたけれど、ななちゃんに「逆に不自然だから」と言われてやめた。
結局私はずっとそわそわしたままで1日が終わり、放課後になってしまった。
(この後はあいつの学校に行って…)
考えるだけで、憂鬱になる。
教室を見回したが、ななちゃんはいない。
あ、今日ななちゃん日直だ…
「ひなー!」
教室の前の方から声が飛んでくる。
「ありさ」
ありさとは高校に入ってから知り合ったが、とても話しが合うし、一緒にいて楽しい。
「これからさ、陽高の男子たちと遊ぶんだけど、ひなも来ない?」
ありさの周りにはクラスの女子たちもいる。
「あー…ごめん、バイトで」
「そっか!分かった!」
「ごめんねー、ばいばい」
ありさは嫌な顔一つせず笑顔で手を振ってくれた。
「ねえひなのお父さんってさ、借金…」
出る間際に、耳に飛び込んできた声にドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
ありさと一緒にいた女の子の声だ。