ハニー♡トースト


橘さんが立ち止まり、軽く頭を下げる。


「お疲れ、橘」


そう言って通りざまに朔弥は橘さんの頭をそっと撫でた。


あ…今の触り方、優しかった。


そんなことに気づいてしまった自分に驚く。


「…橘さんには優しくするんですね!」


って…なに私拗ねたみたいに…


「え、なに、嫉妬してんの?」


「なっ、してません!」


私は慌てて否定する。…なんで私、こんな必死になってんだろ。


「冗談だよ。まあお前は俺のこと大っ嫌いだけど、あいつは俺のこと好きだから。優しくするだろそりゃ」


なんでもない、言葉。


それなのに、なぜか胸の中に石を詰められたように、重くて、苦しい。


(…別に、大っ嫌いとまでは言ってないし…)


ていうかなんで私が傷ついたみたいになってんの…

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