ハニー♡トースト


「あっあの…さ、朔弥様…」


なんだ…声が…


ぼやけていた視界が徐々にくっきりとしていく。


俺の腕の中には、顔を赤らめた橘がいた。


俺は慌てて体を離す。


一瞬の沈黙。


「…悪かったな」


俺はそう言ってチラッと橘を見る。


「…いえ」


橘の顔は、まだ赤いままだ。


俺はため息をつきたくなるのをこらえて、ベッドから降りる。


「…桜田さんとも、いつもこんなことしてるんですか」


俺はもう一度橘の顔を見る。


…ああ、その顔。


「…してないけど?」


俺は笑顔を貼り付けて、橘の目を見つめる。


橘は俺の言葉に目を見開いて、俯く。…傷ついたように。


「…すみません、余計なことを言いました」


失礼します、と言って橘は部屋を出て行った。

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