君の瞳にわたしが映っても(完)
「…てか、そもそもなんで怒ってるの?」
わたしが聞けば、
「……わり。」
相川は歩調を緩めてわたしの隣に並んだ。
「…だよな、お前、俺らに付き合ってくれてんだし…ごめん。」
急に…素直になられると、反応に困るよ。
「はあ……俺、なにしてんだろ。」
「へ?」
「あ、いやんでもね。」
「じゃあ行こ。」
わたしが前も見ずに歩き出すと、不意に前方から自転車が迫ってくるのが見えた。
あっ、やばいっ!
ーグイッ
ポスッ。
「っぶね。」
っ……!!!
爽やかな香りに包まれて、身体中がドキドキ悲鳴を上げている。
ドッ、ドッ、ドッ…
わたし今…相川に抱きしめられてる…?
「あ、相川…。」
「あ、わりい。」
パッと離された腕。それとともに消える温もり。
もっと包まれていたかった…なんて、欲張りだよね。
最初はデートだけで十分だったのに…どんどん欲する自分がいる。
もっと、もっと相川でいっぱいになりたい。
なんて、気持ち悪いかな。