君の瞳にわたしが映っても(完)
「あっ、あそことかは?」
わたしが近くの雑貨店を指せば、いいんじゃね?なんて他人事でついてくる相川。
やっぱりこの人の感情は全く読めない。
「で?どういうのがいいの?」
「んー、お前選んで。」
「だから…はあーそれじゃあ意味ないんだって。」
「意味も何も…頼まれただけだし…。」
「へ?」
「っあー!いや、んでもねえ!!うん、選ぼう選ぼう。」
今の…なんだったんだろう…
まあ、いっか。
「これとかは?」
白石さんの好みかはわからないけれど、白い生地に控えめな桃色の刺繍が入っているポーチは、とても彼女に似合うような気がした。
さりげない可愛さが、白石さんのチャームポイントなんじゃないかな。
「ん、いい、それにする。」
「そんな簡単に決めちゃっていいの?」
「ああ。」
よくわかんないや。
相川がレジに行っている間、わたしは雑貨店内をぶらぶら歩き回った。
「あ、かわいい…。」
手に取ったのは紺の布地に金色のボタンがついたクマのぬいぐるみ。
一人暮らしのわたしは、癒しを求めてるのかもしれない。
すると、
「ん?」
ひょいっと手元にあったクマさんが消えて、慌てて振り返れば相川がそれを持っていた。
「ふーん。こういうのがいいんだ。」