君の瞳にわたしが映っても(完)
わたしはその日はいつもと違ってまっすぐ家に帰った。
そしてドアの前にタンスを置くと、完全バリアを作った。
「大丈夫、怖くない。」
何度もそう自分に言い聞かせた。
「大丈夫、大丈夫。わたし、強いんだから。」
そう言っていると本当に強いような気がしてきた。
「今回は、自分でちゃんと向き合うんだから。」
独り言を言い続ける。
そして完全に家具をドアの前に移動させ、窓のシャッターもおろしたところで、わたしは一人毛布にくるまった。
ぎゅっと新品のクマのぬいぐるみを抱きしめると、どこか胸の奥が切なく悲鳴をあげた。
相川からもらった初めてのプレゼントだった…
いつの間にか、時計は夜の8時を指していた。