君の瞳にわたしが映っても(完)

だから毎晩枕元に相川との写真をお守りみたいにして置いている。


わたしが引っ越す前の、アルバムだ。


幼なじみだった頃の二人の写真…


今でも幼馴染としてみてくれているのかな?きっと、違うよね。もう、ただの同級生だもんね。


「かわいい…」


まだ幼稚園年少さんの時の写真。今のシュッとしたクールな顔とは違う、くりんくりんのぱっちり二重の可愛い相川。


その頃はまだ相川はくせっ毛で、茶色のくるくるした髪で、本当にどこの子役ですか?っていうくらい可愛い。


その隣のわたしは今とあまり変わっていない。相変わらずの肩でばっさり切ったくせっ毛の髪で、いかにもおてんばです!っていうような顔。


だけど…


全然違うんだよ。


あの頃のわたしは家族に愛され、幸せだったから。


絶望っていうものを、知らなかったから。



だから、今のわたしよりも数倍、いや、何百倍も可愛いんだ。



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