君の瞳にわたしが映っても(完)


ドアを隔てた向こう側が騒がしくなって、わたしはハッと我に返った。


二日連続であいつらは訪れた。


この辺りの暴走族と揉めているのだろう。


長い間同じ場所にとどまるとはそういうことだ。


「玲がいねーとつまんねーの!」

「可愛がる相手がいねーとこっちも溜まってくんだよー。」


絶対に開けてはいけなかった…はずなのに。


今日のわたしは、もう何もかもがどうでもよくなっていた。

兄ちゃんは守れなかったし、父ちゃんを救えなかったし、相川は絶対に無謀な片思いだし…もう、どうでもよくなっていた。

生きている理由がわからなくて、何もできない自分にもう絶望しかなくて…

笑って、笑って、笑えば気も紛らわせるかと思ったけど、そんなの嘘。

それでただ自分を慰めようとしていただけ。

自分の素顔を隠そうと必死にもがいていただけ。
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