君の瞳にわたしが映っても(完)
結局は、自分はこういう人間だから。
何もできないんだったら、せめて、あいつらを楽しませてあげるくらいのことは自分に残っているんじゃないかって思って。
それすらもなかったら…もう自分は空っぽのような気がして。
わたしは手探りで昨日放り投げた携帯を探した。
そしてそれを握り締めると、裏側に貼ってある写真を見つめた。
相川とわたしが桜の木の下で並んで座っているときの写真。
相川は泣きそうな笑顔だけど、わたしの顔には笑顔すらない。
この写真を撮った人を、冷たい視線で見つめている。
わたしは浅く息を吸うと、携帯をそっと胸ポケットにしまった。
相川がそこにいるような気がするから。