君の瞳にわたしが映っても(完)

そして彼を見た瞬間に、すべての記憶がまた鮮明に蘇ってきた。


『やめてっ!』

『兄ちゃんっ…ごめん。』


わたしは無意識のうちに兄ちゃんを探していた。


「蓮だったらここにはいねーよ。」

篠原の声でわたしは振り返った。

「あいつがいたら面倒なことになるんだよ。」


わたしはハッと篠原の表情を探るように見つめた。

「兄ちゃんは、暴走族を止めっ!っ…」

「止めてねーよ!」

篠原の拳が額にあたり、わたしはそのままうずくまった。

まただ。

同じだ。

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