君の瞳にわたしが映っても(完)

「蓮に止められたらこっちも困るんだよねー。」


篠原の冷たい声が降りかかる。


「お願いっです…おねがいですからっ、兄ちゃんを…暴走族から…っ外してくださいっ!」

「はあ?何言っちゃってんの、お前。」

篠原の異様なほどに整った顔がぐいっと近づいてくる。

「蓮は俺たちを愛してるんだから。」

涙がほおを伝う。

「嘘だっ!兄ちゃんはあんたが変えたっ!兄ちゃんはあんなんじゃなかっ…っ!」

今度は拳が腹に食い込んだ。

「うっ…」

「いいか、お前は、蓮からの差し入れなんだよ。ただ俺たちを喜ばせてくれればいーの。」

そして篠原がわたしの首筋に顔を近づけてきた。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

そして甘噛みをされる。

何度も、何度も。

気持ち悪くて吐きたい。


「違う、違う、兄ちゃんはそんなんじゃない!」
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