君の瞳にわたしが映っても(完)
ーボフッ
っ!!???!??
「っ…!っごめん。」
「いや。」
わたしは倒れかけた体を慌てて相川から離した。
ドッ、ドッ、ドッ…
ぎゅっと胸が締め付けられたみたいに苦しい。
これだけで緊張してしまうわたしは頭のネジが外れているみたい。
本当に一瞬の出来事だったのに、離れた温もりが寂しくて恋しくて、泣きそうになるくらい体が痛い。
カアーっと体温が上がっているのがわかる。こんな顔見られたらどう思われるんだろう…っ。
そう思って自分でも呆れるくらいに慌てて顔を背けた。
だけどね…
相川からはふわっと甘い香りがしたんだ。
その香りで、わたしはドキドキと高鳴る心境から目が覚めてしまった。頭から冷水をかけられたように、夢から目覚めた。
香水…
白石さんの香水。
ギュって抱き合ったりしたのかな。
で、でも、わたしだって幼稚園の時は一緒のお風呂に入ったんだぞ!…なんて、情けないな。
思わず乾いた笑みを浮かべる。
ちらっと相川を盗み見ると、いたって冷静な表情をしている。
わたしだけ振り回されたってことか…