君の瞳にわたしが映っても(完)
「ふふっ…」
わたしは思わず笑った。
「無理して笑うな…前みたいに。」
「あはっ…」
彼女のいる片思いの相手に、わたしは今、抱きしめられている。
不思議だなあ。
遠い、遠い人だったはずなのに、今、彼は、わたしのことしか見ていない。
これって…期待してもいいのかな…?
ねえ、修二?
「無理してなんかないよ…?」
わたしはかろうじて体を少し動かして、修二の顔をみようとした。
だけど修二はそれさえも許さず、強く抱きしめてくる。
だからわたしはもう一度大きく息を吸っていった。
「無理してなんかない。嬉しいから、笑ってるんだよ。」