君の瞳にわたしが映っても(完)
そう言うと、修二はやっと体を少し離してくれた。
修二の瞳は、あの日みたいに、宝石みたいに光っていた。
泣きそうになる修二の顔がわたしは好きだ。
綺麗なんだ。
輝いている修二の瞳は綺麗なんだ。
わたしのために泣いてくれているって思うと、不謹慎かもしれないけど、嬉しくなっちゃうんだ。
わたしが傷つくたびに泣いてくれるなら、わたしは何度だって傷ついてあげられる、なんて、思ってしまうくらい、わたしはきっと彼の罠にはまっている。
修二は決して涙は流さない。
ただ、瞳に溜めるんだ。
そしてその潤んだ瞳でわたしを心配そうに見つめるんだ。
もっと心配してよ。もっと見てよ。わたしだけのために泣いてよ。
白石さんなんて…見ないでよっ。
わたしは白石さんよりも修二のことが好きっ…好きすぎてつらいくらいなんだよ?
どうしてわたしじゃないの。
今にでも言ってしまいそうよ。
修二が好きだって。