君の瞳にわたしが映っても(完)
「玲?」
振り返ると、そこにはお盆を持った修二が立っていた。
そしてわたしのしていることを見ると、悲しそうに顔を歪めた。
「玲、おいで。」
優しく呼びかけられて、わたしは糸に引かれるように修二の元へ歩み寄った。
修二はお盆を床に置くと、そっとわたしの髪をどけた。
修二が目を伏せると、長い睫毛が縁取られているのがわかった。
そして修二はそのままわたしの首筋に顔を近づけると、優しく口付けた。
「っ…修二?」
修二はわたしには答えず、そのまま今日篠原に噛まれた跡の上からキスを落とした。
胸元まで来た時に、やっと修二は止めると、切り長の瞳で私を見上げた。
「玲、俺のこと、これからも、修二って呼べよ?」