君の瞳にわたしが映っても(完)
「…だよね。ははは。」

わざと言ってみた。相川を困らせたくて。

二人で同時に改札を通る。

ピッ。

今日はこの何気ない行動が特別に思える。周りから見たらカップルに見えるのかな…なんてね。

「おまえ家どっち?」

「んー?あっち。」

「え?あっち…?」

相川が驚いたようにわたしを見てきて、わたしは小さく、「そうだけど?」と答えた。

「ごめ、なんでもねー。」
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