君の瞳にわたしが映っても(完)
*
わたしは物心ついた頃から、家事から仕事まで、全部父がこなしていた。
橘家の大黒柱であった父はいつだって頼り甲斐のある、とても優しい人だった。
きっとみんなの理想の『お父さん』だったと思う。
料理も出来て、お裁縫も出来て、キャッチボールも出来て、とても面倒見のいい父親だった。
そしてわたしには大好きな兄がいた。
橘蓮。
兄は小さい頃から気弱で、妹のわたしがいつも兄を守ってあげていた。
兄はずっと喘息で、とても体が弱かったため、性格まで臆病でおとなしくなってしまった。
喘息が治っても兄の性格は変わらず、小学校高学年になってもよく泣いていた。
その度にいつもわたしと父が二人で兄を励ましてあげていた。
二個違いだったため、普通ならケンカも多いはずのもの、わたしたち兄妹はとても仲が良かった。ケンカなんて数えるほどしかしたことがなかった。
わたしは物心ついた頃から、家事から仕事まで、全部父がこなしていた。
橘家の大黒柱であった父はいつだって頼り甲斐のある、とても優しい人だった。
きっとみんなの理想の『お父さん』だったと思う。
料理も出来て、お裁縫も出来て、キャッチボールも出来て、とても面倒見のいい父親だった。
そしてわたしには大好きな兄がいた。
橘蓮。
兄は小さい頃から気弱で、妹のわたしがいつも兄を守ってあげていた。
兄はずっと喘息で、とても体が弱かったため、性格まで臆病でおとなしくなってしまった。
喘息が治っても兄の性格は変わらず、小学校高学年になってもよく泣いていた。
その度にいつもわたしと父が二人で兄を励ましてあげていた。
二個違いだったため、普通ならケンカも多いはずのもの、わたしたち兄妹はとても仲が良かった。ケンカなんて数えるほどしかしたことがなかった。