君の瞳にわたしが映っても(完)
相川の言いたいことはわかった。
わたしが指している方角は、ボロアパートが多い治安のあまり良くない場所。
でも一人暮らしにはもってこいの値段だったし、
みんなに迷惑かけたくなかったから、実家から一番遠い範囲で、
それでも学校に通える場所を選んだ。
そこがここだった。
でも、実はわたしはほとんどアパートには帰っていない。
一人でいると寂しくて怖くなる。
だからそばの公園で暇つぶしをしていることも少なくない。
あと近くにファーストフード店があるからそこで宿題を終わらせていることも多い。
ひどい生活…だよね。
それも高校生が…ね?
「じゃあ、帰るね。バイバイ!」
本当は一緒にいたかった。
一人でいるのが怖いから。
それでも、まるで魔法がかかっているみたいに勝手に口角が上がっていて、知らないうちにひらひらと手が宙で舞っていた。
「ん…じゃあな?」