君の瞳にわたしが映っても(完)
「わたしもまさか本当にいいって言われるって思ってなかったから、驚いた。だけどその頃のわたしには本当にありがたすぎる話だった。」
「…う…ん。」
「最初は好きとかそんなんじゃなかった。ただ、放課後一緒に帰ってくれるだけでホッとした。でもね…」
その続きに予想がついて、わたしは小さく言った。
「好きになっちゃったんだ。」
「うん…周りから見たらカップルだったけど、実際はわたしの一方通行。修二はただ優しいからそばにいてくれただけで…きっといつか離れて行っちゃうんだろうなって思って、寂しかった。」
そう言ってわたしを見上げる白石さんは、悲しそうに微笑んだ。
「相川に好きな人がいるなんて…ずっと知ってた。」
「えっ……」
「ただ、それを利用して、わたしのそばにいてもらえたのかもしれない…」
「っ…う、ん。」
「修二は優しすぎるの…守りたいと思う気持ちが強すぎて…空回りしちゃうような人。修二ね、その子からいったん離れないといけないと思ってたみたいなの。自分といると、もっと傷つけるんじゃないかって…。自分よりもずっと強い人をその子が見つけるまで離れるって。だからこれもいいチャンスだっていってた。仮交際でも始めないと…っ…早く壁を作らないと…っ自分がすぐその子のもとに行ってしまうから…だって。相当その人が大切なんだなあって伝わってきた。」
なぜだかわたしのことを優しく見つめる白石さん。
「…それでね、今月、その元彼がアメリカに引っ越したの。だから、もうそばにいる理由もなくなっちゃったわけで…。」