君の瞳にわたしが映っても(完)
篠原さんは大嫌いだった。
だけど思い返せば、兄ちゃんをいじめから救ってくれたのは、篠原さんだった。
全部悪いと決めつけるのは、よくないのかもしれない。
篠原さんの家庭はシングルマザーで、彼は小さい頃から虐待を受けていた。
もうその母親は逮捕されたけれど、篠原さんは今でもその闇を抱えて生きている。
みんな何かを抱えて、それから逃れるために家出をしたり、非行に走ったりする。
人間は、みんな一つ一つの行動に何か理由がある。
だからそれをすぐに良いとか悪いとか判断してはいけない。
世界はマルバツゲームでは成り立たない。
たくさんの面を知ることで、人として成長できる。