君の瞳にわたしが映っても(完)
グランドに面した段々に腰をかけると、わたしは大きく息を吸った。
日が傾きかけている。
砂埃の舞い上がる中、淡いオレンジ色の光に染められた男子たちが、一生懸命部活に励んでいる。
サッカー部の掛け声が風に乗って耳に心地よく届く。
ブーブーブー。
小さく振動した携帯を開くと、
『遅くなる前に帰ってきなさい。今日はお父さん特製の野菜カレーだよ。』
と、大好きなお父さんからメッセージが入っていた。
思わず緩む頰を抑えて、わたしも打ち返す、
『わかった!夜ご飯楽しみ!』