君の瞳にわたしが映っても(完)

こんな単純なやりとりが、今、わたしを幸せにしてくれていると思うと、人間は単純な生き物なんだなあって思う。


『心配だから迎えを送ったよ。』


お父さんのそのメッセージに顔を上げると、


数メートル離れた先に見覚えのあるシルエットが浮かび上がった。


「兄ちゃん…。」


その姿に思わず目尻が熱くなる。


夕日を背に立つその姿は、昔の兄ちゃんを思い出させた。


みんなにいじめられて、一人、寂しく公園に立っていたあの頃の兄ちゃんを…


守ってあげたい。


わたしが守らないといけない。


そんな思いが胸を駆け巡った。

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