君の瞳にわたしが映っても(完)
兄ちゃんはため息まじりにわたしの隣に腰をかけた。
大好きな兄ちゃんの匂いがする。
わたしが守ってあげてた兄ちゃんの匂いがする。
T−シャツの裾の下から伸びる紫の傷は、きっとわたしを守るために仲間から殴られた時にできたもの。
きっと兄ちゃんにできた傷は全部わたしの為なんだ。
わたしの…せいなんだ。
「お前…俺のこと嫌ってねーの?」
兄ちゃんの掠れた声が聞こえる。
「こんな俺、嫌いなんじゃねーの?」
まるで確かめるようにか細いその声に、胸が震えた。