君の瞳にわたしが映っても(完)
「兄ちゃんこそ…わたし、非行に走る兄ちゃんを止めれなかった。全部、全部わたしのせいなんじゃ…」
「ばか。」
「え?」
「お前、そんな風に思ってたのか?」
「だって…!」
「俺は、そんなにまでして俺に付いてきてくれるお前が、本当は、心強かった。
一人ぼっちじゃねーんだって勝手に自己満足してた。
だけど、そんな弱い俺がいたから、お前はなんども傷ついた。
ちゃんと言えばよかった。来るな!って。
そうしたらお前を守れたかもしれねーのに…。
全部、全部俺のせいだ。お前をボロボロにした。
あの時だって…っ。
許してもらえるような事じゃねーんだよ。」
そう言ってやっと兄ちゃんは顔を上げた。
兄ちゃんの黒い、深い眼差しとわたしの視線が交差した。