君の瞳にわたしが映っても(完)

「っどうでもいいなんて…嘘。」


「え…?」


相川が小さく呟く。


「そんなの!!!わかるよ!!相川はずっと苦しかったんだよね?全部一人で抱え込んでいたんだよね?だめだよっ…そんなのっ、だめだよ。」


わたしはそう言って、片膝をついて無意識に相川を抱きしめた。

お父さんを置いて逃げた方だから、置いていかれた方の気持ちはわからない。

だけど、兄ちゃんがわたしの知らない場所に行って、どんどんと離れて行った時…すごく、すごく心細かった。

お父さんを慰めることもできなくて、兄ちゃんの助けにもなれなくて。

逃げたのはわたしなのに、すごく寂しかった。裏切られたような気持ちになった。


相川は…大好きなお母さんに出ていかれたんだよね…そんなの、耐えられるわけない。


自分の価値も、何も、わからなくなってしまう。


相川っ…もっと頼ってよ!


「っ…。」


「相川っ、泣いてもいいんだよ?わたし、ずっとそばにいるよ?」


「っくっ…れ…いっ。」


相川はなんどもわたしのことを救ってくれた。



今回だけは、わたしが君を助けたい。
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