君の瞳にわたしが映っても(完)

わたしは黙って相川を強く抱きしめ続けた。

胸のあたりに触れる相川の髪が風でそっと揺れる。


きっと今君に必要なのは誰かの温かいぬくもり。

それだけなんだ。


「玲、っ…」


相川の腕が頼りなさげにぎゅっとわたしの腰に回るのを感じて、


こんなにも君が全部抱え込んで我慢していたのを知って、


胸が痛いくらいに締め付けられる。



今日、話そう。


今まであってこと全部、わたしの過去も全部、君に話そう。



きっと君ならわかってくれる。


そう思ったから。

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