君の瞳にわたしが映っても(完)
#10 君の瞳にわたしが映っても
春風がそっとわたしの髪を撫でる。
桜の花が満開になって、淡い桃色の花びらを運んでくる。
大きな桜の木の下に立つ君の髪は、微風によって優しく揺らされている。
心臓は大きな音を立てて、とくん、とくん、と鳴っている。
そしてわたしの恋心は、今、開け放たれるんだ。
「修二!」
腹の底から君の名を呼ぶ。
君の瞳は大きく揺れる。