君の瞳にわたしが映っても(完)
「けどまあ、あれだけで解決するわけはねーよな。」
相川は悔しそうに言った。
「柚気が弱いし、傷つきやすいから、余計。また俺のせいでなんか言われるかもしんねーし…情けねえな、俺。守ってあげなきゃいけないのに、俺のせいでいじられるとか…。」
「相川は、良い彼氏だよ。」
自分の声が自分のものじゃないような気がした。
どこか冷静に、客観的に相川を見ている自分がいて、腹底が微かに疼いた。
相川は眉を寄せて、少しだけ切なそうに笑った。
「ははっ、そうかな。」
わたしは早く白石さんの話題を変えたくて、急いで頭を巡らせた。
「そ、そういえば、相川は今日部活ないの?」
「ああ、毎週火曜日は休み。」
そう言ってから、相川は不意に視線をそらした。
「お礼って形で、なんかおごらせろよ。」