君の瞳にわたしが映っても(完)
わたしはとても嬉しそうに語る彼を見て、自分までじんわりと温かくなった。
「相川に言われたんだ、
『何を言われてもめげないで戦うお前がかっこいい。
お前みたいに強く、自分らしくなりたい』って、本気に、真剣に言われたんだ。
それが俺は今でも自分の中の誇りでさ。
相川にしてみれば何気無く言った言葉かもしんねえけど、
俺にはもう神の言葉みたいで。
それ以来俺は、相川に憧れてんだよ。
だけど話す機会もないし、
高校卒業する前までには友達になりてえって思ってて、
橘さんの力を借りに来た。」
そう言ってわたしを見上げる彼は、確かに、とても、強く見えた。
誰かに憧れるって、すごい。
その人をその誰かの色で塗り替えてゆく。
だけどわたしは…なにもできない。誰も、変えれない。
変えれなかった。