君の瞳にわたしが映っても(完)
ーダン!
腕を強く引かれ、気づいたらわたしは相川に校舎裏の壁に乱暴に押し付けられていた。
両手首を掴まれていて、身動きも取れない。
相川の恐ろしいほど整った顔が目の前に浮かび上がる。優しい彼の冷たい眼差しに、不安が波のように押し寄せては引く。
相川だから、怖くない…でも…っ
でも…その目が笑っていなかったから、別の意味で心臓がうるさかった。
わたし…嫌われちゃったかな、とか。
何か、不快に思うことしちゃったのかな、とか。
泣くかと思った。
どうして。
どうして。
好きな人にこんなことされて…遊ばれてるの?とか…
相川のことがわからない。
ねえ…なに、して、るの?
こんなに距離近くて…そんな状況じゃないけどドキドキしちゃって…
なのに、何も発せないわたしは罪な女だ。
「お前さ、いっつも俺を振り回して、なんもわかってねーんだよ…」
そう言いながらゆっくりと顔を近づけてくる。
「っ……気づけよ。」
そう呟いた時の相川の表情が、あまりにも切なそうで、わたしは困惑した。
なんでそんなに…悲しそうな顔をするの?