君の瞳にわたしが映っても(完)

相川からは爽やかな香りがする。








秋なのに、なぜだか…春の香りがするような気がする。







「なあ、抵抗しろよ。」


そう言う相川はとても辛そうで…。



「離れるんだったら今だぞ…」



そう言いながらも、相川はわたしの横から腕をどけようとしない。

今にも唇が触れてしまいそうな距離にいる相川の吐息がほおにかかる。


自分でも驚くくらい心臓が跳ねていて、相川の少しだけ色気を含んだ表情に切なく胸が音を立てる。


わたしが…離れるわけないじゃん…こんなにも相川の虜になってるんだよ?ずっと、ずっと好きだった相手に…こんな期待させることしないでよ…


相川は、わたしを壊したいの?


ねえ、言ってることとやってること、矛盾してるよ?



わたしは相川の潤んだ瞳をとらえた。








好きだよ…







そう、伝えられたら、わたしは相川から解放されるのかな。

忘れられるのかな…っ


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